飲食店を経営していると、税金対策に頭を悩ませることが多いですよね。事業で得た利益に対してかかる税金や、取引のたびにかかる税金など、把握すべき税金の種類は多岐にわたります。
適切な税金対策を行うことで、節税効果を得られるだけでなく、キャッシュフローの改善にもつながります。一方で、税制は頻繁に改正されるため、最新の情報を入手し、専門家のアドバイスを仰ぐことも重要です。
本記事では、飲食店経営者が取り組むべき税金対策を具体的に解説します。税金の種類や計算方法、節税のポイントをしっかりと理解することで、賢明な経営判断を下すことができるでしょう。
飲食店の税金対策に悩む経営者の方は、ぜひ本記事を参考にしてください。きっと、明るい未来が見えてくるはずです。
飲食店経営に関わる税金の種類
個人事業主の場合
飲食店を個人事業主として経営する場合、主に所得税、個人住民税、個人事業税の3種類の税金がかかります。
所得税は、1月1日から12月31日までの1年間で得た所得に対して課税される国税であり、課税所得金額に応じて5%から45%の7段階の累進課税となります。
個人事業税は、県民税として都道府県に納付する税金で、事業所得が290万円を超える場合に、飲食業では5%の税率で課税されます。
住民税は、市町村民税として市区町村に納付する税金で、前年の所得に応じて課税されます。
法人の場合
飲食店を法人として経営する場合、法人税、法人住民税、法人事業税の3種類の税金が課されます。
法人税は、法人の所得に対して課税される国税で、資本金や所得金額に応じて税率が異なります。資本金1億円以下の中小法人の場合、所得金額のうち800万円以下の部分には15%の軽減税率が適用され、800万円を超える部分には23.2%の税率が適用されます。
法人住民税は、法人等の所在地の市町村に納付する税金で、法人税割と均等割の2種類があります。
法人事業税は、法人の事業に対して都道府県に納付する税金で、所得や資本金等に応じて課税されます。
共通の税金
個人事業主と法人に共通して課される税金として、消費税があります。
消費税は、商品やサービスの販売、提供に際して発生する税金で、税率は10%です。ただし、飲食料品の譲渡や定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞には、軽減税率8%が適用されます。外食やケータリング、酒類の提供は軽減税率の対象外です。
2023年10月からはインボイス制度が導入され、適格請求書発行事業者として登録された事業者のみが仕入税額控除を受けられるようになりました。飲食店経営者は、適格請求書の発行や保存に関する対応が求められます。
消費税の課税事業者となるかどうかは、基準期間（個人事業主は前々年、法人は前々事業年度）の課税売上高によって判定されます。課税事業者となった場合は、消費税の申告と納付が必要となります。
基本的な税金対策
青色申告の活用
青色申告を行うことで、白色申告と比べてさまざまな特典を受けることができます。
青色申告特別控除として、複式簿記による記帳と貸借対照表や損益計算書の作成・提出、電子申告を行うことで最大65万円を所得から控除できます。紙での申告の場合は、控除額が55万円となります。
青色申告を行う個人事業主は、専従者給与を必要経費として計上することができます。配偶者やその他の親族で生計を一にする人が、事業に従事した場合に支払った給与を経費に算入できるのです。ただし、専従者給与に関する届出書の提出が必要となります。
また、青色申告を行っていれば、仮に赤字になった場合でも、翌年以降3年間は繰越控除として利用できます。この繰越控除は、将来の黒字年度の所得から差し引くことができるため、節税効果があります。
経費計上のポイント
飲食店経営において、経費として計上できる項目を把握し、漏れなく申告することが重要です。
飲食店の経費としては、食材費、水道光熱費、地代家賃、人件費、広告宣伝費などが挙げられます。これらの経費を適切に計上することで、課税所得を減らし、税負担を軽減することができます。
一方で、経費として認められない項目もあります。飲食店経営者の家族旅行費用や高額な接待交際費などは、経費として計上できないケースがあります。経費の判断に迷う場合は、税理士に相談するのが賢明です。
また、経費計上には、領収書や請求書などの証憑類の保存が不可欠です。税務調査の際に、これらの書類の提示を求められる可能性があるため、法定保存期間（原則として7年間）にわたって適切に管理しておく必要があります。会計ソフトを活用すれば、領収書の電子化と保存が容易になります。
共済制度の活用
個人事業主や中小企業が加入できる共済制度には、節税効果があるものがあります。
小規模企業共済は、掛金が全額所得控除の対象となるため、節税に有効です。掛金は、月1,000円から7万円まで自由に設定でき、共済金の受取方法も一括と分割から選択できます。ただし、解約手当金は一時所得として課税の対象となるため注意が必要です。
経営セーフティ共済（中小企業倒産防止共済制度）も、掛金が損金または必要経費に算入できるため、節税効果があります。この共済制度は、取引先の倒産や後継者難による廃業など、不測の事態に備えるためのものです。共済金の貸付けを受けることで、事業の資金繰りが改善される仕組みです。
一方で、共済制度の解約時には、解約手当金に対する課税や、一定の控除額の計算など、税務上の処理が必要となります。共済制度の活用は節税に有効ですが、加入や脱退の際には、税理士に相談して適切に対応することが重要です。
消費税の申告方法の選択
原則課税方式
原則課税方式は、課税売上高から課税仕入高を差し引いて、消費税納付額を計算する方法です。
課税売上高とは、商品やサービスを提供して受け取った対価の総額のことで、税込価格で計算します。一方、課税仕入高とは、商品の仕入れや店舗の賃借料など、課税対象となる経費の総額を指します。
原則課税方式のメリットは、課税仕入高が多い場合に、消費税の納付額を抑えられることです。特に設備投資を行った年度などは、原則課税方式を選択することで節税効果が期待できます。
ただし、原則課税方式を採用するには、帳簿や請求書などの整理が必要不可欠です。取引先から受け取った請求書等に基づいて、課税仕入高を正確に計算しなければなりません。この点で、事務負担が大きくなるデメリットがあります。
簡易課税方式
簡易課税方式は、課税売上高に業種ごとに定められた「みなし仕入率」を掛けて、消費税納付額を計算する方法です。
飲食店の場合、みなし仕入率は60%と定められています。つまり、課税売上高の60%を課税仕入高とみなして、消費税納付額を計算するのです。
簡易課税方式のメリットは、原則課税方式と比べて事務負担が軽減されることです。課税仕入高を１つ１つ計算する必要がないため、帳簿や請求書の管理が簡素化されます。特に、飲食店のように課税仕入高の割合が高い業種では、簡易課税方式の採用がおすすめです。
ただし、簡易課税方式を選択できるのは、基準期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者に限られます。また、2年間は簡易課税方式を継続適用しなければならないため、事業環境の変化に柔軟に対応できない可能性があります。
飲食店における有利・不利の判断
飲食店経営において、原則課税方式と簡易課税方式のどちらが有利かを判断するには、課税売上高と課税仕入高の割合を考慮する必要があります。
課税売上高に占める課税仕入高の割合が60%以上であれば、簡易課税方式を選択する方が有利です。一方、課税仕入高の割合が60%を下回る場合は、原則課税方式の方が節税効果が高くなります。
ただし、この判断は経営状況によって変わりうるため、定期的に見直すことが重要です。また、会計ソフトを活用して、課税売上高と課税仕入高の推移を把握しておくと、適切な判断に役立ちます。
消費税の申告方法の選択は、飲食店の経営戦略に大きな影響を与えます。事業規模や経費の構成、事務負担などを総合的に勘案して、最適な方式を選択することが求められます。判断に迷う場合は、税理士に相談して、専門家のアドバイスを仰ぐことをおすすめします。
設備投資と減価償却の戦略
設備投資のタイミングと効果
飲食店経営において、設備投資は事業の成長や競争力強化に不可欠です。また、税務上のメリットを享受できるタイミングで設備投資を行うことも重要です。
減価償却とは、固定資産の取得費用を耐用年数にわたって費用化する会計処理のことです。設備投資を行った年度に、減価償却費を計上することで、課税所得を圧縮し、節税効果を得ることができます。
設備投資のタイミングとしては、業績が好調な年度や税制優遇措置がある年度を狙うのが有効です。例えば、中小企業投資促進税制では、一定の設備投資を行った場合、取得価額の30%を特別償却できます。こうした税制を活用することで、節税効果を最大化できます。
ただし、設備投資は資金繰りに大きな影響を与えます。投資による売上増加や業務効率化など、投資効果を見極めたうえで、適切なタイミングで実行することが肝要です。長期的な視点に立って、戦略的に設備投資を行うことが求められます。
少額減価償却資産の特例
少額減価償却資産の特例とは、取得価額が30万円未満の減価償却資産について、取得年度に全額を損金算入できる制度です。
通常、減価償却資産は耐用年数にわたって償却しますが、少額減価償却資産の特例を適用すれば、初年度に全額を経費計上できるのです。この特例の適用により、設備投資による節税効果を前倒しで享受することができます。
ただし、特例の適用には条件があります。青色申告を行っている中小企業者等であることが必要で、具体的には資本金が1億円以下の法人や、常時使用する従業員数が1,000人以下の個人事業主が該当します。また、年間の取得合計額が300万円を超える部分は、通常の減価償却となります。
少額減価償却資産の特例は、少額の設備投資を行う飲食店にとって、有効な節税手段となります。経営状況を見極めながら、計画的に活用することが重要です。
注意点
設備投資と減価償却の戦略を立てる際は、いくつかの注意点があります。
まず、投資効果を精査することが重要です。節税効果を重視するあまり、不要な設備投資を行うことは避けなければなりません。投資による収益増加や業務効率化など、経営に与える影響を十分に検討することが求められます。
次に、減価償却の方法を適切に選択する必要があります。定額法と定率法では、償却額の計算方法が異なります。資産の特性や経営戦略に応じて、最適な償却方法を選択することが重要です。
また、税制改正にも注意が必要です。減価償却制度や税制優遇措置は、頻繁に改正されます。税制の変更を見据えて、投資計画を柔軟に調整する必要があります。会計ソフトを活用して、最新の税制情報を入手することも有効です。
法人化の検討
法人化のメリット
個人事業主から法人化することで、節税効果やリスク管理など、さまざまなメリットを享受できます。
法人税率は所得に関係なく一定であるため、個人事業の累進課税と比べて、高所得の場合に節税効果が大きくなります。所得税の最高税率が45%であるのに対し、法人税率（軽減税率適用の場合）は15%にとどまります。
また、法人化によって社会保険料の節税効果も期待できます。個人事業主の場合、社会保険料は全額が個人の負担となりますが、法人の場合は会社負担分を損金に算入できるためです。
さらに、法人化すれば、役員報酬や退職金を損金として処理することができます。役員報酬は引当金を設定することで、損金算入が可能となります。将来の役員退職金についても、内部留保による資金確保が認められます。
加えて、法人化によって事業と経営者の資産を分離できるため、事業リスクの管理に役立ちます。個人事業主の場合、事業上の債務は経営者個人の責任となりますが、法人化することで有限責任を実現できるのです。
法人化のデメリット
一方で、法人化にはデメリットもあります。
まず、設立や運営にコストがかかることが挙げられます。定款の作成や登記などの手続きに費用を要します。また、法人の維持には、定期的な株主総会の開催や決算書の作成など、一定の事務負担が発生します。
加えて、法人化によって事務手続きが増加します。個人事業主の場合と比べて、税務申告や社会保険手続きなど、行政への届出が複雑になります。会計帳簿の管理も煩雑になるため、専門家の助言が不可欠となります。
また、法人化後の経営状況によっては、節税効果が限定的となるケースもあります。赤字決算が続く場合、法人税の優位性を享受できません。個人事業主の場合と比較して、慎重に判断する必要があります。
法人化の判断基準
飲食店経営において、法人化の是非を判断する際は、収益性や将来性を見据える必要があります。
一般的に、年間所得が500万円以上で、かつ事業の継続性が高い場合に、法人化のメリットが大きいと言われています。ただし、この基準はあくまで目安であり、個別の事情を考慮する必要があります。
事業規模の拡大を予定している場合や、事業承継を見据えている場合は、早期の法人化が有効です。一方、事業リスクが高い場合や、安定した収益が見込めない場合は、個人事業主として経営を継続する選択肢もあります。
法人化の判断に際しては、税理士など専門家のアドバイスを仰ぐことが重要です。長期的な視点に立って、メリットとデメリットを比較考量し、最適な選択を行うことが求められます。会計ソフトを活用して、正確な財務データに基づいて意思決定を行うことも有効です。
潰れない店づくりのためには、法人化による節税効果やリスク管理も重要な要素です。しかし、法人化には一定のコストや事務負担が伴うため、経営状況に応じて慎重に判断する必要があります。専門家のアドバイスを参考に、長期的な視点で意思決定を行うことが肝要でしょう。
その他の節税対策
雇用関係の助成金活用
飲食店経営においては、人材の確保と育成が重要な課題となります。この課題に対応するため、雇用関係の助成金を活用することで、人件費の負担を軽減できます。
例えば、トライアル雇用助成金は、職業経験の少ない人を試行雇用した場合に、一定額が支給される制度です。また、キャリアアップ助成金は、有期契約労働者の正社員化や処遇改善を実施した場合に、助成金が受けられます。
これらの助成金を活用することで、人材確保のコストを抑えつつ、従業員の定着率を高めることができます。助成金の適用条件や手続きについては、ハローワークなどの関係機関に相談することをおすすめします。
店舗の敷金や保証金の償却
飲食店の出店に際しては、敷金や保証金の支払いが必要となります。この支出は、一時の費用負担が大きいため、課税所得の圧縮に活用できます。
店舗の賃貸借契約が中途解約された場合、敷金や保証金は返還されないことがあります。この場合、返還されない部分を事業所得の必要経費として計上できるのです。
ただし、償却の方法は賃貸借契約の内容によって異なります。返還されない部分が明確に定められている場合は、契約時に一括償却できます。一方、返還の可否が不明確な場合は、賃貸借期間にわたって均等償却する必要があります。
敷金や保証金の償却は、節税効果だけでなく、キャッシュフローの改善にも寄与します。適切な会計処理を行うためにも、税理士に相談することが重要です。
メニュー開発費の経費計上
飲食店の競争力を高めるには、魅力的なメニューの開発が欠かせません。メニュー開発に要した費用は、原則として発生年度の必要経費として計上できます。
試作品の材料費や調理器具の購入費、従業員の人件費などが対象となります。また、メニュー開発のために外部の専門家に依頼した場合の委託費用も、経費計上が可能です。
ただし、メニュー開発費の経費計上には注意が必要です。飲食店経営者の個人的な飲食費や、開発目的と関係のない支出は、経費として認められません。支出の目的を明確にし、適切な証憑を整備することが求められます。
会計ソフトを活用して、メニュー開発費を適切に管理することも有効です。正確な経費計上により、節税効果を最大化することができるでしょう。
ポイント制度の導入と税務上の注意点
近年、飲食店でもポイント制度の導入が進んでいます。ポイント制度は、リピーターの獲得や客単価の向上に効果的ですが、税務上の取り扱いに注意が必要です。
ポイント制度には、ポイント付与時に売上を計上する「売上計上方式」と、ポイント使用時に売上を計上する「引当金方式」の2種類があります。売上計上方式の場合、ポイント付与時に売上高とポイント引当金を計上し、ポイント使用時に引当金を取り崩します。一方、引当金方式の場合、ポイント付与時は売上を計上せず、ポイント使用時に売上高とポイント費用を計上します。
ポイント制度の導入に際しては、適用する方式を慎重に検討する必要があります。売上計上方式は、ポイント付与時の売上が増加するため、課税所得が増加するリスクがあります。一方、引当金方式は、ポイント引当金の繰入額が損金算入されるため、節税効果が期待できます。
ポイント制度の運用には、適切な会計処理と証憑管理が不可欠です。ポイント付与や使用の記録を適切に行い、税務署の指導に対応できるようにしておくことが重要です。
会計処理と税務の注意点
正確な記帳と帳簿の整備
飲食店経営において、正確な記帳と帳簿の整備は税務対策の基本です。日々の取引を漏れなく記録し、適切な証憑を保管することが求められます。
記帳の際は、取引の発生順に日付や内容を記載し、科目ごとに分類することが重要です。現金の入出金は、現金出納帳で管理し、預金の受払は預金出納帳で記録します。また、クレジットカードや電子マネーの取引は、専用の帳簿を作成するとよいでしょう。
帳簿の整備に際しては、信頼性の高い会計ソフトを活用することをおすすめします。飲食店に特化した会計ソフトも登場しており、日々の記帳や決算処理の効率化に役立ちます。ただし、一部の会計ソフトは使いにくいため、選択には注意が必要です。
正確な記帳と帳簿の整備は、税務調査への備えにもなります。万一、税務調査が入った場合、適切な帳簿書類の提示により、円滑な調査対応が可能となるのです。
税務調査に備えるポイント
税務調査は、納税者の申告内容を確認するために、税務署が行う調査です。飲食店経営者も、税務調査の対象となる可能性があります。
税務調査に備えるには、日頃から帳簿書類の整備を徹底することが重要です。取引の記録や証憑は、法定保存期間（原則として7年間）にわたって保管する必要があります。また、税務署から質問された場合に備えて、取引内容や業務フローを整理しておくことも有効です。
税務調査の際は、税務署の指示に従って、誠実に対応することが求められます。調査官の質問に対しては、事実関係を正確に説明し、必要な書類を提示します。ただし、調査官の要求が不当である場合は、税理士など専門家のアドバイスを仰ぐことも重要です。
税務調査への備えは、日頃の会計処理の適正性を高めることにもつながります。適切な税務対策を行いつつ、万一の調査にも対応できる体制を整えておくことが賢明です。
税理士や専門家への相談の重要性
飲食店経営において、税務は複雑な問題を孕んでいます。税制改正が頻繁に行われることや、個別の事情に応じた対応が求められることから、税理士など専門家の助言が欠かせません。
税理士は、税務に関する高度な知識と豊富な実務経験を有しています。飲食店の経営状況を踏まえて、適切な節税対策や税務リスクの回避策を提案してくれます。また、税務調査への対応や、各種届出書の作成など、税務実務のサポートも行ってくれます。
使いにくい会計ソフトしか使えない場合でも、税理士に相談することで、効果的な活用方法を教えてもらえます。税理士は、会計ソフトの選択や導入に際しても、適切なアドバイスを提供してくれるでしょう。
税理士への相談は、節税対策だけでなく、経営全般の改善にも役立ちます。財務状況の分析や資金繰りの改善など、税理士の知見は経営力の向上に直結します。日頃から税理士と緊密にコミュニケーションを取り、信頼関係を築いておくことが重要です。
「飲食店の経営を行う中で、租税公課や水道光熱費、旅費交通費、接待交際費といった費用は、原則としてすべて必要経費に計上することができると理解しています。ただ、従業員のまかないについては、給与とみなされるのか、経費として計上できる範囲や手続きは、状況によって異なるようです。まかない費用の取り扱いは慎重に検討する必要がありそうですね。」
「法人化は、節税メリットが大きいかもしれませんが、やはり手続きの煩雑さが気になります。法人税の申告のために、新しく会計ソフトを導入する必要も出てくるでしょうし、株主総会の開催など運営の手間も増えますよね。うちの店のように中小規模の飲食店の場合、個人事業のまま慎重に節税を進めた方がいいのかもしれません。」
飲食店の税金対策のまとめ
飲食店経営者が把握すべき税金には、事業で得た利益にかかる税金と取引のたびにかかる税金があります。適切な税金対策を行うことで、節税効果やキャッシュフローの改善につなげることができます。
青色申告の活用、共済制度への加入、経費の正確な計上、所得の分散、法人化の検討、消費税の申告方法の選択など、さまざまな税金対策のポイントがあります。また、設備投資や減価償却の戦略的な活用、助成金の活用、敷金や保証金の償却、メニュー開発費の経費計上、ポイント制度の導入など、状況に応じた対策も有効です。
一方で、税制改正への注意や専門家への相談も欠かせません。日々の正確な記帳と帳簿の整備、税務調査への備えなど、会計処理と税務の基本を押さえておくことも重要でしょう。
| 税金の種類 | 事業で得た利益にかかる税金（所得税、法人税等）、取引のたびにかかる税金（消費税等） |
|---|---|
| 基本的な税金対策 | 青色申告の活用、共済制度への加入、経費の正確な計上、所得の分散、法人化の検討、消費税の申告方法の選択 |
| その他の節税対策 | 設備投資と減価償却の戦略、助成金の活用、敷金や保証金の償却、メニュー開発費の経費計上、ポイント制度の導入 |
| 会計処理と税務の注意点 | 正確な記帳と帳簿の整備、税務調査への備え、税理士や専門家への相談 |
