飲食店の帳簿は手書きで!その理由と方法

飲食店を開業したものの、帳簿のつけ方がよく分からなくて困っていませんか? 毎日のように現金の出入りがあるのに、どんな帳簿をどうやって付ければいいのか悩んでしまいますよね。

でも、ご安心ください。飲食店の帳簿は手書きがおすすめなんです。パソコンが苦手な人でも大丈夫。複雑な知識は必要ありません。

手書きの帳簿をつけると、お店の日々の売上や支出がリアルタイムで把握できて、お金の流れが一目瞭然。家族経営のお店なら、みんなで情報を共有するのにも役立ちます。

帳簿は飲食店経営を支える羅針盤。手書きの帳簿だからできる強みを生かして、しっかり数字を見ながらお店を運営していきましょう。

飲食店に必要な帳簿の種類から、手書きのコツまで、税理士の視点でくわしく解説します。さあ、一緒に帳簿づけを始めてみませんか?

>>飲食店開業は「やめたほうがいい」?

飲食店で必要な帳簿の種類とは?手書きがおすすめな理由

最も重要な現金出納帳

飲食店経営において、もっとも重要な帳簿が現金出納帳です。現金出納帳は、その名の通り現金の出入りを記録する帳簿で、いわば飲食店における家計簿のようなものです。現金出納帳をつけることで、日々の売上や仕入れ、人件費などの支出を把握することができ、お店の収支状況を正確に管理することが可能になります。手書きで付ける現金出納帳は、パソコンが苦手な方でも簡単につけられるのが魅力です。

売上と仕入を管理する売掛帳・買掛帳

現金出納帳と並んで重要なのが、売掛帳と買掛帳です。売掛帳は掛売りした売上を、買掛帳は掛けで仕入れた商品の代金を管理する帳簿になります。飲食店では現金取引が多いものの、取引先との関係で掛け取引を行うこともあるでしょう。売掛金や買掛金を管理することは、資金繰りを考える上で欠かせません。こうした帳簿も手書きで付けることで、取引の内容を具体的に把握しやすくなります。

経費を記録する経費帳

飲食店経営では、食材の仕入れ以外にも光熱費や家賃、消耗品費など様々な経費が発生します。こうした経費を記録するための帳簿が経費帳です。領収書や請求書などの証憑類をもとに、日々の経費を漏れなく記録していきましょう。手書きの経費帳なら、領収書などを見ながらその場で記入できるので、記録漏れを防げます。経費帳をつけることで、経費の使いすぎにも気づきやすくなります。

在庫を把握する棚卸表

飲食店を経営していると、食材や消耗品の在庫管理も重要になってきます。棚卸表は、品目ごとの在庫数を記録する帳簿です。定期的に在庫の実数を数えて棚卸表に記入することで、適切な発注量を知ることができます。在庫が余っていれば仕入れを控えめにしたり、人気メニューの食材が足りなくならないよう調整したりと、コストと売上のバランスを考えた店舗運営につながります。手書きの棚卸表を使えば、品目ごとの在庫数がひと目で分かります。

従業員の給与計算に給与台帳

アルバイトやパートを雇用している飲食店では、給与台帳も必要な帳簿のひとつです。給与台帳には、従業員の出勤日数や労働時間、時給などを記録し、給与の計算根拠を明らかにしておく必要があります。税務署への届出にも使う大切な帳簿なので、手書きできちんと記録しておきましょう。従業員ごとに給与明細を作成し、控えを保管しておくと安心です。

飲食店の帳簿は手書きとエクセル、会計ソフトどれがいい?

手書き帳簿のメリットとデメリット

飲食店の帳簿は、手書き、エクセル、会計ソフトのいずれかの方法で作成するのが一般的です。このうち、手書きで帳簿をつける最大のメリットは、初心者でも簡単に始められることでしょう。パソコンが苦手な人や帳簿の付け方がよく分からない人でも、ルールに沿って帳簿を手書きしていけば問題ありません。一方、手書きのデメリットは手間と時間がかかることです。伝票や領収書の内容を見ながら帳簿に転記する作業は、正直面倒に感じてしまうかもしれません。

エクセル帳簿のメリットとデメリット

飲食店の帳簿づけにエクセルを使うメリットは、計算を自動化できることです。エクセルの表に数字を入力すれば、合計金額などを自動で求めてくれるので便利です。また、デジタルデータなので保管場所にも困りません。ただし、エクセルのデメリットは、関数の使い方などエクセルの操作にある程度習熟する必要があること。シンプルな表は作れても、本格的な帳簿づけとなると少し大変かもしれません。

会計ソフト帳簿のメリットとデメリット

飲食店向けの会計ソフトを使うと、手書きやエクセルよりもさらに簡単に帳簿がつけられます。レジと連携すれば売上金額を自動で取り込めたり、仕訳の知識がなくても簡単に記帳できたりするのが会計ソフトの最大の魅力です。一方、会計ソフトのデメリットはランニングコストがかかることでしょうか。ただし、記帳にかかる時間と手間を考えれば、十分元は取れるのではないでしょうか。

飲食店の帳簿づけで知っておきたい青色申告のメリット

青色申告と白色申告の違い

飲食店の税務申告には、大きく分けて白色申告と青色申告の2種類があります。白色申告は「収入金額から必要経費を差し引いた金額」に税率を掛けて納税額を計算するシンプルな方法ですが、青色申告は複式簿記による記帳が必要になります。つまり、現金出納帳や預金出納帳、経費帳のほかに、総勘定元帳や仕訳帳といった帳簿の作成が求められるわけです。そのため、青色申告の方が白色申告より少し手間がかかるといえるでしょう。

青色申告のメリット

青色申告で必要な帳簿づけは大変そうに思えますが、実はメリットの方が大きいんです。青色申告のメリットとして代表的なのが、65万円の青色申告特別控除が受けられること。これにより税負担を大幅に抑えられます。また、赤字を翌年以降に繰越すことができるので、収支が安定しない飲食店経営には大変役立ちます。日々の記帳を習慣づければ、青色申告のための帳簿づけもそれほど難しくありませんよ。

飲食店の決算書はどう作る?コツは手書き帳簿の活用

決算書に必要な財務諸表

青色申告において決算書を作成するには、複数の財務諸表を準備する必要があります。損益計算書、貸借対照表、製造原価報告書などがその代表例ですね。これらの財務諸表は、日々の帳簿をもとに作るので、帳簿づけが何より大切になります。このとき、現金出納帳や預金出納帳などの手書きの帳簿があると、集計作業がとてもスムーズに進みます。日々コツコツと帳簿をつけておけば、決算書の作成も難しくありません。

手書き帳簿から作成する決算書のコツ

手書きの帳簿から決算書を作る際のコツは、見やすい集計表を作ることです。たとえば、現金出納帳や預金出納帳から、勘定科目ごとに1カ月分の合計金額を抜き出して一覧表にするのです。こうした作業を繰り返せば、1年分の総勘定元帳が完成します。そこから損益計算書や貸借対照表を作るのは、それほど難しくありません。専門的な部分は税理士に相談しながら、経営者自身が決算書の作成に関われば、お店の財務状況もより深く理解できるでしょう。

手書きの帳簿をつけることが飲食店経営を支える秘訣

リアルタイムな取引把握

帳簿は飲食店経営にとって、まさに羅針盤のようなもの。帳簿があれば、今月いくら売上があって、いくら仕入れしたのか、人件費はいくらかかっているのかといったお店のお金の流れが手に取るようによく分かります。特に手書きの帳簿は、伝票や領収書を見ながらその場で記入するので、取引内容がリアルタイムで把握できる点が大きな魅力。お店の日々の動きを知るには、手書き帳簿が最適だといえるでしょう。

家族経営での情報共有

夫婦や親子で飲食店を経営しているケースでは、手書きの帳簿が情報共有にとても役立ちます。パソコン上のデータだと、入力した本人しか中身が分からないことも多いですが、手書きの帳簿なら誰の目にも明らか。売上や支出の状況を家族全員で確認でき、経営方針を話し合う際にも客観的な数字を共有できます。帳簿づけの作業を家族で分担すれば、お店の状況がより手に取るように分かるはずです。

手書きならではのこだわりが強み

手書きの帳簿だからこそ、自分ならではの書き方を貫けるのも魅力のひとつ。たとえば、日々の売上を付箋に書いて現金出納帳に貼るとか、仕入れ先ごとに色分けをするとか。自分にとって見やすく使いやすい方法でつけていけば、帳簿が身近な存在になるでしょう。丁寧に書くことを習慣づけると、お店への愛着も深まります。こうした小さなこだわりの積み重ねが、大切に店舗を運営する誠実な姿勢につながり、お客様からの信頼を生むのではないでしょうか。手書きの帳簿だからできる強みを、飲食店経営に生かしていきたいですね。

>>飲食店の持ち込みは許可した方がいい?

飲食店の帳簿は手書きで!その理由と方法のまとめ

いかがでしたか?飲食店の帳簿は手書きで付けるのがおすすめだということが、よく分かっていただけたのではないでしょうか。

現金出納帳や売掛帳、経費帳などの手書き帳簿があれば、日々の売上や支出を把握するのも簡単です。青色申告のメリットを生かすためにも、コツコツ帳簿を手書きしていくことが大切。

お店の強みにもつながる手書き帳簿は、飲食店経営に欠かせません。面倒だと思わずに、自分なりの工夫を凝らしながら続けていきましょう。

帳簿づけに悩む多くの飲食店オーナー様のお役に立てれば幸いです。税理士としてサポートが必要な際は、いつでもご相談ください。

項目 ポイント
必要な帳簿の種類 現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、棚卸表、給与台帳など
手書き帳簿のメリット 初心者でも簡単、お金の流れを把握しやすい、家族経営で共有しやすい
青色申告のメリット 65万円の特別控除、赤字の繰越など節税効果大
決算書作成のコツ 勘定科目ごとの集計表を作り、損益計算書や貸借対照表を作る
手書き帳簿の強み リアルタイムな取引把握、自分流の書き方でこだわれる